【インタビュー記事】香港のビジネスパートナー「TOP&TOP LIMITED様」
- 会社名
- TOP&TOP LIMITED
(天上天有限会社) - 所在地
- 中華人民共和国 香港特別行政区
Result 日本の雑貨のメーカー海外販路開拓
雑貨メーカーH社様
総代理店
雑貨メーカーH社様
総代理店
服飾メーカーⅮ社様
代理店
Implement 実施内容
バラエティ雑貨中心の生活雑貨店「iroiro」:7店舗展開
香港の地下鉄構内など超一等地に出店。日本のバラエティグッズを中心に展開。
サンリオやサンエックスなど日本のキャラクターが人気で、
若い女性の方中心に賑わっています。
服飾雑貨中心のファッション雑貨店「ans」:3店舗展開
日本のアクセサリーやバッグなど服飾雑貨を中心に展開。
日本のトレンドを発信し、地元のOLさんに人気です。
世界一の売上を叩き出す日系小売店への卸売
香港支店の坪効率が世界一になっている日系小売店は多く、
その販売力に世界中が注目しています。
TOP&TOP LIMITED様はドンキホーテやイオン、ユニー、APITAなど
有力な日系小売店に卸売口座を有しています。
Consultant's Comment
海外販路開拓の成否はパートナーで決まる
~インタビューを終えて~
長期的に考えて衰退していく日本経済を考えると海外販路開拓はすでに必須の戦略になっています。
今回のインタビューでお伝えしたいのは2つです。
1 海外販路開拓は思ったほど難しくない
2 海外販路開拓は思ったほど簡単ではない
それぞれ相反したタイトルですが少し解説をしたいと思います。
1 海外販路開拓は思ったほど難しくない
この香港のTOP&TOPさんのようにすでに現地に有力な口座を多数持っている会社にお願いする、
というやり方です。主要なスタッフは全員日本語を話しますし、決済も日本円で可能。
日本の指定倉庫に出荷するだけなので、普通の日本の問屋との取引とまったく同じです。
しかも海外は「縦売れ」、つまり大量に売る販売力がありますので
1回の注文で下代3万円という単位ではなく、その100倍の金額のオーダーもまったく珍しいことではありません。
香港だけでも、日本の九州ぐらいの売上はすぐに作れると思います。
ポイントは「良いパートナーと組む」ということに尽きます。
2 海外販路開拓は思ったほど簡単ではない
逆にですが、撤退もしくは思ったほど売れなかったというメーカーさんのケースを見てみましょう。
ほとんどの理由は①売価が高すぎた ②日本でも売れていなかったという2つに集約されます。
まず田中氏のインタビューにもありましたが、①売価が高すぎた、というケースは本当に多いです。
海外の人も観光やWEBで日本の売価がすぐに分かる時代です。
内外価格差が大きすぎる場合には買う気にもなりません。
しかし稀ですが日本の感覚で5掛け、6掛けで海外に卸売をしているメーカーさんもいます。
香港がいくら関税0、消費税0でも日本からの送料や香港の家賃を考えると販売者は
十分や粗利を確保しようとすると現地での売価は軽く日本の2倍にはなるでしょう。
また現地の中間業者に卸売して、さらに小売店が利益を乗せて、
小売価格に転嫁されているケースもあります。
このようなことは日本の公的機関では決して教えてくれません。
なぜなら自分で販売したことがないからです。
海外ビジネスを永続させるには最初からそれ相応の価格設定が必要です。
アジア各国において現地の人で超繁盛しているドンキホーテ(現地業態名:DON DON DONKI)の売価が、
日本とそれほど大差がないことを見ると価格設定がいかに大切かが分かります。
②日本でも売れていなかった
これも田中氏のインタビューにありましたが、日本のトレンドと100%同じではないものの、
日本で売れているものが欲しい傾向が強いので、そもそも日本で売れていないと海外では売れません。
稀にですが「日本で売れていなくとも海外なら売れるだろう」と安易に考えているメーカーさんもいらっしゃり、
まずは日本で実績を作ることが「海外で販売する近道」ということも良くあります。
いずれにせよ、適切なパートナー選定さえ出来れば、このような無用な問題は発生しません。
たまたま展示会で出会っただけ、あるいは現地の知り合いといったレベルの会社と
自社の将来を左右するような取り組みをしてはいけません。
日本であれば少し考えれば当たり前のことですが、海外慣れしていない雑貨メーカーさんが多いです。
ポイントとしては各国(各地域)のNO.1の代理店と組むことです。
香港であればTOP&TOP LIMITED様でしょうし、同様に台湾・中国・韓国など
エリアごと、商材ごとに得手不得手はあるでしょう。
海外はチャンスだらけです。
ぜひ海外販路開拓で御社の明るい未来を創っていただければと思います。
香港における唯一無二のパートナー
Managing Director
田中 博 様
香港における販路開拓はお任せください。
インタビュアー(佐橋) ―
このページでは弊社の香港における提携パートナーである
TOP&TOP LIMITEDのManaging Director 田中博氏をご紹介したいと思います。
数々の日本の生活雑貨メーカーの香港における卸売をしていただいています。
田中氏は香港在住32年。香港でリアル店舗を10店舗、
吉田カバン(ポーター)のFC店4店舗、日系小売店への卸売、
日系メーカーの総代理店、日系ブランドの販売代行などをおこない、
香港の日本人界では知らない人はいないという著名な経営者です。
香港は中国化や昨今の暴動などでネガティブなイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、
国家安全法制定後は善悪は別としてデモは鎮静化し、コロナの抑え込みも日本よりも遥かに成功しています。
香港は今でも世界で屈指の買い物天国で、関税も消費税も0(中国は増値税17%)のため、
高級ブランドでも割安に買うことが出来ます。
さらに富裕層も多いことから、小売店の坪効率も世界一であると言われています。
また人口700万人中、毎年日本に延べ200万人が来日するという親日ぶりで、
コロナ禍で日本に来ることが出来ない中、日本製品が香港で「爆買い」されています。
■インタビュー「香港の日系No.1代理店 TOP&TOP LIMITEDに突撃インタビュー」
1 TOP&TOP LIMITED様のご紹介
2 香港市場の現状と特徴
3 ライフスタンダードとのつながり
4 日本の雑貨メーカーはまず香港に進出しよう
―改めまして本日はよろしくお願いいたします。まずは簡単な自己紹介からお願いいたします。
今年で香港在住33目になりますTOP&TOPの田中と思います。
26歳の時、1988年に香港に来ました。日本では新卒でPARCOに入社しました。
商業施設のディベロッパー業として内装のダイレクション、テナントの管理、
ウィンドウのディスプレイなどに3年弱従事しました。
父が中国・台湾・香港で製造業をおこなっており、家業を手伝う形で香港に渡航しました。
―グローバルな家系なのですね。そこからご自身の会社設立をされた経緯を教えてください。
TOP&TOP LIMITEDという会社は香港で知り合った現地の人と1991年7月に設立しました。
当時はカバンの品揃え型のお店で、いまと同様に日本からカバンを輸入して
自社の直営店舗で売るという形態でした。
ある時、ビジネスパートナーから、
「もうそろそろ独り立ちしてはどうか?」と提案をもらいました。
実はビジネスとして順風満帆とは言えませんでした。
パートナーが事業から抜けた後、品揃えを拡大し、
ファッション雑貨、特に手袋やマフラー・アクセサリーなどを扱い始めました。
その時に売れていた「吉田カバン」だけを独立させて、
「クラチカ」のフランチャイズ契約を締結しました。
いまから20年前ですが、それが「吉田カバン」の海外1号店になりました。
いまはそれも含めて大きくは3つの事業をおこなっています。
1)小売業
いまではFCの「クラチカ」:4店舗、自社の直営店であるバラエティ雑貨「iroiro」:7店舗、
服飾雑貨「ans」:3店舗の計14店舗を展開しています。
2)卸売業
一昨年から急成長しているのが卸売業です。日本の生活雑貨・服飾雑貨の総代理店・代理店となり、
香港の小売店に対して卸売をおこなっています。
主な卸先は日系量販店ではイオン・ユニー・APITA・ドンキホーテ、
外資ではシティスーパー(ログオン)・ワトソンズ・オーシャンパーク(遊園地)などです。
マカオにも卸売をおこなっており、ヤオハン(いまは現地資本で地域一番店)とお取引をさせて頂いております。
3)販売代行
日本から香港に出店しているファッション雑貨店チェーンの販売代行もおこなっています。
人の採用から店頭販売、人材育成など店舗運営に関わることすべてを当社が対応しています。
その会社の現地法人はコロナ禍以前から駐在員は0です。今後もこのような案件が増えるのではないかと思います。
―香港の小売業の坪効率は世界一と言われますが、香港でのビジネスの特徴を教えてください。
実は香港の店舗が世界で一番の売上高、もしくは一番の坪効率という日系企業は数多く存在します。
イオン・ドンキホーテ・資生堂もそうです。
よく香港は家賃が高いと言われますが、売れる場所は高く、売れない場所は安いという市場原理が働いており、
例え家賃が高くとも、365日営業で営業時間も22:00までという長時間営業の中、
やり方によっては十分にチャンスがあると思っています。
関税も0、消費税も0で売価を低く抑えることが出来るため、
コロナ禍前は中国人の「爆買い」客でも賑わっていました。
また中国の影響を心配される方も多いかもしれませんが、
香港は英国統治時代からの法体系がしっかりしており、
非常にクリーンで面倒臭いことはありません。生活している中では、中国の影響は感じません。
以前のデモ活動も、良い悪いは別にして「香港国家安全法」の制定により、
デモも無くなり、社会は安定しました。商売をやる上では非常に良い状態です。
―香港人は「世界で一番親日」と言う人もいますが、それについてはどう思われますか?
はい。一般的には台湾が世界一親日と言われていると思いますが、
データでは香港の方が「親日かも」というものもあります。
コロナ禍前の2019年ですが、台湾の人口2,400万人中、訪日数が500万人弱、
つまり単純計算で5人に1人は毎年日本に来ていることになります。
一方、香港の人口700万人中、訪日数が200万人ですので、
3人に1人弱が日本に来ています。
日本の人口1億3,000万人の中、例えば4,000万人がどこか特定の国に
旅行に行く姿を想像してみてください。すごいことですよ(笑)
―確かに香港人の日本好きは尋常ではないレベルですよね。
距離的にも近く、日本の文化やファッションに興味が高いですし、
趣味嗜好も近いです。
日本で知名度があるものは香港でも知名度があります。
ドンキホーテさんが1年で6店舗出店し、
世界で一番売っている店舗が香港店というぐらいの大成功です。
もともと香港人は日本でいろいろと商品を見て、香港でも買うというケースが多かったですが、
いま大好きな日本に旅行に行けないため、
ドンキホーテのような日系小売店で「爆買い」しているのだと思います。
―いまの香港でこれほど日本製品が売れていることは多くの日本人にとって「盲点」ですよね。
そうなんです。日本の多くの生活雑貨メーカーさんは海外ビジネスに慣れておらず、
海外の情勢にも疎いため、大きなビジネスチャンスを逃しているなと感じることがあります。
そういう意味で日本におけるライフスタンダードさんは、
自社でも海外への卸売販売をおこなうだけではなく、
以前からギフトショーでの講演などで海外への販路拡大の重要性を啓蒙活動、
香港貿易発展局(政府系機関で香港のJETROに相当)で貿易アドバイザーの就任。
また海外展示会の出展サポートをされたりと、
多岐にわたって日本の雑貨業界の国際化に非常に貢献されていると思います。
今後のさらなるご活躍に期待しております(笑)
また日本の最新の業界動向や売れ筋商品情報をご提供頂き、
多数の有力な日本の雑貨メーカーさんとも当社を繋いでいただいて、
本当にありがとうございます。
ライフスタンダードとの取り組みがなければ、当社もこれほど急速に卸売事業を
拡大することは出来なかったと思います。
―いえいえ、香港ではではなく、海外市場の素晴らしさをもっと多くの人に知って欲しいですね。
アジアには日本国内と同じ感覚でビジネスを出来るエリアがたくさんあります。
話を戻しますと、香港ではどのような生活雑貨が売れますでしょうか?
香港で売れるのは、日本のトレンドと100%イコールではありません。
切り口としては「MADE IN JAPAN」「安心安全性」「品質と価格のバランス」などです。
また日本のキャラクターグッズも売れます。
当社もサンリオさんの版権を買ってコラボ商品を生産したりしていますが、
ほとんどのキャラクターの商品を作りました。
サンエックスさんの商品も香港では人気です。
版権は日本国内のみのパターンが多いですが、
香港に広げれば売れるものはたくさんあると思います。
逆に売れないのは上代の付け方が間違っていて値段が高すぎるなどのケースです。
香港人は日本で同じ商品を見ています。価格差が大きすぎるといくら日本好きでも買う気が起こりません。
日本での商習慣を一度忘れて現地で売れる仕切り価格にする、現地に詳しいパートナーと組むなど、
0ベースで海外市場を考えて頂きたいと思います。
―そうですね。売れない原因が分からず、撤退しているメーカーさんは多いかもしれません。
改めて最後に日本の雑貨メーカーさんにメッセージをお願いします。
日本には魅力的な商品がたくさんあり、香港にはそれを欲しい巨大なマーケットがあります。
日本の雑貨メーカーは「宝のもちぐされ」で本当にもったいないと思います。
海外のハードルは高くはありません。しかし変な偏見を捨てて日本の慣習の延長ではなく、
現地の慣習を知って長続きする取り組み方をして欲しいと思います。
当社では輸出に関する業務をすべておこないます。海外への販売が初めてでも大丈夫です。
日本の指定倉庫に出荷頂くだけ、お支払いも日本円ですし、バイヤーも全員日本語が堪能です。
海外取引に関わる一切のストレスはありません。
香港はアジアの入口です。香港で売れれば、アジアのどこでも売れると思います。
逆に関税も消費税も0の香港で売れなければ、アジアのどこでも売れません。
海外に売りたい生活雑貨メーカーさんはぜひ香港市場にチャレンジしてみてください。
(聞き手)株式会社ライフスタンダード 佐橋賢治